夜遅く蛍が飛ぶのをご覧になったことがありますか。
お子様にもぜひ見せてあげたいですね。
蛍が光りながら飛ぶ光景は、誰もが一瞬息を呑む神秘があります。
おじいさんやおばあさんが若い頃、田舎にいたらご覧になっているかも知れませんが、
一昔前は農村や山村のどこでも、夜になると蛍を見ることができました。
幼児教育としての蛍は、かつては夏の風物詩、いまでは環境のことも、
生物の多様性のことも、自然を守ることにも、通じる大きな社会的テーマとなりました。
ほっ、ほっ、ほーたる来い
昔は、夜が深まってくると、浴衣を着て、竹籠と団扇を持って、水辺や田んぼの畦道に、
蛍狩りに出かけたものです。
蛍を取る、狩る、というより、弱々しく飛んでいる蛍に、
そっと団扇をかざせば手に移せました。
籠に入れて持ち帰って、蚊帳の中に放つのを、子供たちは楽しみにしていたのです。
でも、か弱い昆虫なので、弱りきらないうちに、蚊帳から出して庭に放してあげて、
どこかで光っているのを見定めて蚊帳に戻るのが暗黙の行いでした。
死に急ぐなと蛍に水吹いて 鈴木真砂女
自然や田園に蛍を甦らせたい。
人々の心象風景の中にも残っている、蛍を愛でる精神の遺伝子も残していきたい。
いまでは、誰もがそう思っていてくれるでしょう。
蛍の住むところ
水清ければ魚住まず、とか、とても繊細でか弱い蛍は、美しい水にしか住めません。
といっても、水道の水のように透明な水が美しいのではありません。
人の目には濁って見えていても、あらゆる生態系が存在している、
食物連鎖がゆたかな環境が美しいということです。
プランクトンから、ゲンゴロウ、タイコモチ、ナナフシなどの水辺の重戦車から、
可愛いメダカまで、生態系が複雑で満ち溢れているほど、きれいな水辺で、
蛍にとっても住みやすいのです。
あのやさしい光を出して飛ぶか弱い蛍の幼虫は、肉食で、貝のカワニナが好物です。
農薬や里山の都市化で、カワニナがいなくなったことが蛍の減少につながっています。
もう、人々が手作りできちんと守っていかなければ、蛍は生存できなくなっています。
蛍の光の点滅は、自然環境の危険信号でもあります。
蛍は子供たちの生態系教科書
オスの蛍のお尻が光ってメスを誘うという、昆虫の中でもユニークな特権もあってか、
蛍を飼育して自然の環境の中に放って育てよう、
という活動が多くの小中学校で行われているのはうれしいことです。
蛍を育てるためには、蛍の幼虫が食べるカワニナという貝がいなければいけない、
カワニナが育つ生態系がゆたかな環境の水辺がなければいけない、
と蛍ひとつから、自然の環境づくりの必要性へと自然科学の関心もひろがります。
蛍は子供たちにも人気です。
「虫が光る」不思議とともに、蛍が光る光景は、日本の繊細で、
奥ゆかしい自然を象徴しているし、人々に安らぎを与えてくれます。
蛍は自然のゆたかさと人々の心をつないでくれる役割を果たしているようです。
蛍の幼虫は、美しく可憐な成虫からはちょっと予想もできないような、
似ても似つかない興ざめた形をしています。
なるほど、貝の肉を食べると言われれば納得です。
蛍の幼虫は田んぼなどの水の中にいますが、種類によっては、一人前に光ります。
昔は蛍狩りのとき、蛇の目と間違えるから深追いしない、と年輩の人に諭されたものです。
蚊帳
蛍狩りに縁があったのは蚊帳です。
蚊帳の中に放して寝る前のひとときを楽しんだものです。
蚊帳はもはやほとんど死語になろうとしています。
いまや窓を開け放って寝ることもできず、機密性の高い部屋ではクーラーで冷やされて、
殺虫剤が蚊帳の代わりをしています。
浮世絵にも蚊帳はたくさん描かれています。
蚊帳の細かい緑の網目を通して、庶民の暮らしが描かれています。
アカイエカが媒介する日本脳炎はほとんどなくなりました。
しかし、アフリカやアマゾンや東南アジアのジャングル地帯では、
蚊が媒介するマラリアで多くの命が失われています。
COP10などで、生物の多様性を環境や技術の面から考える時代の流れを受けて、
日本の蚊帳の技術や商品化が、
マラリアに悩んでいる国々で活かされないものかと考えます。
蚊帳は本来自然の素材で作られるし、生活スタイルを乱すことなく取り入れられれば、
少しは役に立つような気もします。
スシ、ショウユ、モッタイナイとかの国際語に、カヤは、仲間入りできないのでしょうか。
短絡的な思いこみだけの、このコンテンツを通じての、カヤプロジェクトのご提案です。
学問のしおり
国語
「童謡にも蛍はたくさん歌われていますね」
♪ 蛍の光 窓の雪
卒業生を送り出すのに、こんなにふさわしい小学唱歌があるでしょうか。
スコットランドの民謡で、作詩作曲不詳ですが、「仰げば尊し」とならんで歌われています。
算数
「蛍の光にリズムがあるの」
蛍が光るのはオスで、メスを誘うために光ります。
よく見ると、オスは同じリズムでいっせいに光っています。
懐中電灯の点滅にシンクロして蛍が光ってくれることもありますよ。
理科
「蛍はなぜ光るの?」
腹部の先端に発光細胞を持っていて、
ルシフェリンとルシアェラーゼという物質が化学反応を起して、
反射層で外に送られます。昆虫の世界の不思議と智恵のひとつです。
社会
「蛍はどこに行けば見えるの?」
小中学校の生徒たちの、蛍を飼育して川辺に放そうという活動の成果もあって、
蛍を見る里山が少しずつ回復されているようです。
蛍の見える場所、お子さんの方がひょっとして知っているかも。
近場で調べて見に行きたいですね。

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