江戸しぐさ 江戸は幼児教育の出発点

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コンセプト

 

江戸のコミュニケーション・アートである浮世絵、よくご覧になる方はご存知と思いますが、

写真と同じで、江戸しぐさの瞬間をとらえているポーズがとても多いのです。

 

ひとりとひりの何気ない動作やしぐさのストップモーションに、その頃のくらしや、

人と人との関係や、しぐさのこころまで、

日本人の和のこころや粋が丁寧に表現されています。

題材としては、遊女や歌舞伎役者や商人が多いことも時代の風俗を写していますが、

子供も多く描かれていて、親と子供の関係がいかに大切にされていたかをよく表しています。

そうです、江戸しぐさは、幼児教育の原点なのです。

道ですれ違う

 

江戸の公道は長参勤交代の行列が通る幅はありましたが、

ふだん最優先されるのは、「喧嘩と火事は江戸の花」といわれる、火消し衆です。

火消し衆の「どいた、どいた」の韋駄天走りは、いまの都会の消防車や救急車と同じで

誰も道を開けなければなりません。

 

おのずから、人は道の端を歩くことになりますし、長屋などびっしり建て込んだ小路は狭く、

すれ違うときには、ちょっと体を横にしてカニ歩きをするとか、

雨の日は傘を傾け合ってすれ違う、傘かしげとか、

人が歩くときのマナーが江戸にはありました。

 

寄席や歌舞伎の桟敷でも、混んでくると、こぶしひとつ分腰を浮かせて席を詰め合う、

こぶし浮かせのような、人への思いやりもありました。

いま電車の中で荷物の分も二人分の席を取ったり、

足を広げて投げ出して座る風俗を見たら江戸の人は度肝を抜くでしょうね。

 

 

近所づきあい

 

地域とのお付き合いはわずらわしいどころか、思いやりと謙譲にあふれていました。

お互い町衆の寄合いが、困っている子供の家庭の面倒を、

親代わりにみることは、むしろ自主的な行為で、お互いに助け、助け合う関係にありました。

現在、高層住宅ではなおさら、お隣の旦那さんの顔も名前も知らない、

「無関係」がありますし、地域でもお祭かイベントのときくらいしか、寄り合いません。

 

地域の人が通い合うメディアのひとつが銭湯でした。

銭湯はみんなが文字通り裸でお付き合いする場所、

お互いに利用する銭湯という公共の場所を心身ともに美しく保つためにも、

地域のいいお付き合いは必要だったのです。

 

体もこころもほぐして近所の人たちが時間と空間をいっしょにくつろぐ場に、

たとえ下世話な噂が立っても疎まれるだけで長続きせず、

お互いに気持ちのいい話題だけが持続するのです。

 

 

お互いに自分らしさを分かり合う

 

つねに他人の存在を重んじる時代だからこそ、

お互いに自分を主張できるという環境が江戸にはありました。

 

江戸では自分らしさが大事にされました。自分も主張するが、

人の主張も大事に聞くということです。

 

人はみな得手不得手を持っています。それが補完し合って、人格を認め合い、

人と人との関係が成立します。

 

武芸に劣っていても文芸がある、というように、人はどこかにいいところがあり、

個人の人格と専門の技を認め合うところから、

さまざまな技術や職業が江戸時代に繁盛したのです。

ひとりひとりの子供に向かうときにもこの気持ちは大事です。

 

 

商人の基本

 

江戸しぐさは、そうした商人の心得から生まれました。

商人が商売をするときの徹底した心得は、ものを使っていただくために売ることで、

そこに身分や職業や年齢は関係ありません。

 

武士であろうと、相手が誰であろうと、差別や偏見はなく、商売する心がありました。

そうした商人の心やしぐさが、いまに通じる、日本の経済の原点になっているのでしょう。

いまの時代、名刺の肩書きを見て、偉い人なんですね、というのは、

偉い人でなければ軽んじていたのか、ということになって、江戸にはあり得ません。

 

ものを買って暮らしていくのに、名誉も肩書きも違いはないのです。

 

 

「三つ心、六つしつけ、九つ言葉、十二文、十五理」

 

商人の江戸しぐさの根本は、後継ぎを任せる子供への教育にありました。

「江戸しぐさ」は、越川禮子さんからいただかざるを得ません。

(「子供が育つ江戸しぐさ」「身につけよう!江戸しぐさ」ともに、KKベストセラーズ)

 

親は子供が3歳になるまでに、脳と体とこころの糸をしっかり張る、

6歳までに良いことか悪いことか、相手を思いやる身のこなしを身につける、

9歳までにきちんと世辞や挨拶を言えるようにする、

12歳までに商売の書類や書状を書けるようにする、

15歳までに社会の理を自ら会得できるようにする、というものです。

 

いまでも、「子供を見れば親がわかる」と言いますが、子供は親の反映だからです。

親が教えるより、子供が真似る、幼児教育の基本が江戸の商人にはすでにありました。

 

 

お母さんの大切な役割

 

江戸しぐさは、これからも現代ビジネスのコミュニケーションの基本です。

それぞれ自分の人格と主張があって、しかし、人はすべて平等、

お互いを受け入れ合う社会的なコミュニケーションがそこにあります。

また、江戸の商売の繁盛を支えたのは女房(女性)の手腕、江戸しぐさを支えてきた

母親の幼児教育の大切さにもつながります。

 

 

学問のしおり

 

国語

 

「江戸の言葉はいまも生きていますね」

 

やさしく簡単な挨拶はこころのこもった江戸のしぐさです。

「こんにちは」「おたがいさま」「あいすみません」など、人と人との関係を良くする言葉です。

「うかつでした」といえば、喧嘩になるどころか、人を仲良くさせます。

足を踏んだ方も「うかつでした」と言い、踏まれた方も「うかつでした」と言えばものごとは

平穏に治まります。

 

算数

 

「江戸しぐさには数字がよく使われますね」

 

『三脱の教え』初対面の人に、年齢、職業、地位を聞かないルールです。

商人にはすべての人が平等だからです。

 

『すべて銭湯に五常の道あり』五常とは、仁、義、礼、智、信。

式亭三馬の滑稽本「浮世風呂」にあります。

 

理科

 

「江戸時代にも、地震、雷、火事、親父、といわれて震災があったのですね」

 

地震も、雷も怖いが、火事がいちばん怖いので火事=親父(かしら)という意味です。

親父は4番目ということではなく、親父の威厳がいちばんということです。

木造家屋の長屋に火が出たらひとたまりもありません。

火の回りを防ぐうだつ(土塀)が使われました。

「め組」など町内で火消し衆が活躍しました。

いざというとき、親父=パパはきちんと役割を果たしていました。

 

社会

 

「江戸のしぐさはボディランゲージですね」

 

口の聞き方、目つき、表情、身のこなしなど、感じるままに瞬間に出る、

素早い五感の働きを、江戸しぐさの粋といいました。

現代にも生きています。本音は、言葉ではなく、しぐさに出るものです。

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このページは、gallopが2008年7月30日 13:00に書いたブログ記事です。

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