コンセプト
子供たちはお化けや妖怪が大好きです。
この世にありそうで、なさそうで、どこか怪しくて気持ちが悪い、
どこか不吉でもありそうだが、おもしろくて可愛い。
夏休みのお化け屋敷、子供たちはキャーキャー怖がりながら面白がって、
お化けに会いに行くものです。
大げさかもしれませんが、お化けや妖怪は、
私たちの古い歴史や人々の言い伝えや心の中に住みやすいイメージを
たっぷり含んだ、幼児教育の民俗学としてのDNAがあるのかも知れません。
今の街には住めない河童
数百年も石の中に閉じ込められていたカッパの子が、
少年に拾われてよみがえりますが、あまりにも変わり果てた村の姿にびっくりします。(原恵一監督「河童のクゥと夏休み」)
妖怪というより、現代に移されては、なさけない、ユーモラスな河童は、
失われた自然の中ではもう生きていけないのです。
どこか憎めない、どこか人間的なキャラクターですね。
河童を見た、という人はほとんど現われませんが、柳田国男も指摘しているように、
日本各地では古くから民衆に水の神様とされてきた起源に基づくようです。
太古の森を守っていたもののけ
宮崎駿さんのアニメにはよく
「もののけ」じみた妖怪が
出てきます。
人々の恵みになっている深い森などの自然と、人間が森を
壊そうとしている接点で、
警告するかのように
よく出てきます。
タタリ神である猪から呪いを
かけられた、蝦夷の末裔の
少年が出会う、
山犬に育てられた
「もののけ姫」、生活のために製鉄を営むタタラたちと森のシシ神。
人の手の入らない太古の森を司っていた多くの神々がいました。
同じように、森のトトロは、太古より住んでいる生き物、
不思議な超能力を持っていますが、
ヌーボーとした姿は子供にしか見ることができません。
子供にしか見えないものもあるのです。家を守ってくれていたのでしょうか、
イガ栗のような、まっくろくろすけは、サツキとメイが住むようになってから、
家の庇からさっと流れ出て森へ帰って行きます。
思いっきり陽気なお化けもいます。「平成狸ぽんぽこ」の終わりがけに出てくる
お化けのえんえんと続くパレードには、ろくろく首や一つ目小僧など、
日本のすべてのお化けが登場します。
ヨーロッパの森の精
外国にも、「スターウォーズ」に出てくる怪物の宴会を見ていると、
同じようなお化けがいるのでしょうが、あまり人に危害を加えそうもないところは、
日本と同じなのかもしれませんね。
でも、ケルト族の神話や伝説に出てくるフェアリー(妖精)は、
ヨーロッパ独特のものかも知れません。
透明な羽根をつけて森の中を飛んでいる、
可憐な妖精は幸せの使者のように見えます。
愛知万博では、森の木の幹や枝に、気付かなければわからないくらいあちこちに、
カラーのモールが人形らしく編まれてさりげなく座ったりしていましたが、
やはり森を守る森の精のイメージなのでしょう。
可憐さや美しさが似ているといえば、日本にも夕鶴やかぐや姫の昔語りがあります。
人の世と、冥界か、自然の神秘を橋渡ししてくれるお話なのでしょう。
私たちもこころを少しメルヘンチックにすると、
このような妖精や妖怪が実際に居ても不思議ではない感じになりますね。
妖怪の街
大通りに妖怪がいっぱい居る街があります。
鳥取県境港市の商店街の800メートルの大通りに並ぶのは、
鬼太郎、目玉おやじ、こなき爺、傘化け、ねずみ男など120体の妖怪のブロンズ像、「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるさんのふるさとの水木しげるロードです。
かつて50万トンを超えていたマイワシ漁が不振になって、
市と商店街がいっしょになって考えた町おこしです。
始まった93年は23体だった妖怪も、寄付や公募を合わせていまや120体、
すっかり妖怪の街になりました。観光客も年々増え続け、100万人近くになり、
妖怪そっくりコンテストや境港妖怪検定などのイベントも実施され、
「ゲゲゲの鬼太郎」の実写映画もできました。
水木しげるロードのオープン時にあった空き店舗もほぼなくなり、
妖怪まんじゅうやせんべいも売られて、
商店街の地域振興の日本でも珍しい成功例になりました。
妖怪ラヂオ
水木しげるロードに開設された妖怪ラヂオが人気を呼んでいます。
目玉おやじに近づくと、「これは目玉おやじじゃ。鬼太郎のお父さんで、
朝風呂が大好きじゃ。毎朝お椀のお風呂に入る。」
また、「小豆洗いじゃ。川や谷で歌いながらショッキリショッキリ
小豆を洗うような音をさせる。」と老婆の声が妖怪を解説します。
土産店で買う手の平サイズの妖怪ラヂオでもいいし、
ふつうのラジオなら道路交通情報と同じ周波数で、
主な妖怪30体に3メートルくらい近づくと聞こえます。
最近、TBSラジオでも「怪ラヂオ~妖怪の周辺」が放送され、
怪しの世界を大人が楽しんでいます。
「遊び」といってしまえばそれだけのことですが、もし、世の中から、お化け、妖怪、
怪物などの不思議がなんにもなかったら、なんだか味気なくないですか。

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