コンセプト
童謡は子供のための歌でもなく、子供が歌う歌でもありません。
大人も子供も心をひとつにできる、日本があり、季節があり、自然があり、
生活があり、遊びがあります。童謡は子供の音楽の幼児教育だけではなくて、
広く、大きく、ゆたかな世界の素晴らしい題材です。
最初の一節を聞いただけで、だれにもひろがる日本の原風景、
しばらくごいっしょに楽しみましょう。
高野辰之作詞、岡野貞一作曲
「次世代に伝えたい童謡」を 聞きました
50歳以上の1400人に
(朝日新聞、2007年7月25日、アスパラクラブ)。
ベスト10の中に「故郷」
「春の小川」「朧月夜」
「春が来た」4曲が
入っています。
いずれも、作詞 高野辰之、
作曲 岡野貞一のコンビです。
「故郷」 ♪うさぎ追いしかの山 小鮒つりしかの川
「春の小川」 ♪春の小川はさらさらいくよ 岸のすみれやれんげの花に
「朧月夜」 ♪菜の花畠に入日薄れ 見わたす山の端霞深し
「春が来た」 ♪春が来た 春が来た どこに来た
高野辰之のふるさとは長野県豊田村、千曲川が流れる北信濃の農村風景にも、
岡野貞一の故郷・鳥取市にも、
霞たなびく春の夕暮れに菜の花畑が見られるといいます。
そして、6位のこの曲も春の歌。「早春賦」(作詞/吉丸一昌、作曲/中田章)
♪春は名のみの風の寒さや 谷の鶯歌は思えど
安曇野の素朴で透明な風景に心を打たれて作詞したといいます。
春の明るさとうれしさが、のびやかな中田章の美しい旋律で曲になり、
多くの人に愛されています。
ふるさとの秋
春と秋には日本のこころの細やかさが
写されるのでしょう、
選ばれたベスト10の中には秋の曲も
2つあります。
「里の秋」(作詞/斎藤信夫、作曲/海沼実)
♪静かな静かな里の秋
お背戸に木の実の落ちる夜は
「ちいさい秋見つけた」
(作詞/サトウハチロー、作曲/中田喜直)
♪だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
「里の秋」は、南方の戦線から復員して来る父の無事を祈る、
母と子の静かな暮らしが秋のかそけさに重ねられています。
ベスト1、2は、偶然「夕焼け小焼け」で始まる
ベスト2は、「夕焼け小焼け」(作詞/中村雨紅、作曲/草川信)でした。
♪夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘がなる
たっぷり遊んでお友達と別れて家に帰る子供たちの心の動きと風景が
美しい夕空に重なっています。ボールがもう見えなくなる頃まで、
コウモリがぶつかりそうに舞い狂う頃まで遊んで、
子供たちは、遊びをやめる悲しさと、お家の温かさに帰って行くなぐさめを
繰り返して成長していくのです。
ベスト1は、「赤とんぼ」(作詞/三木露風、作曲/山田耕筰)。
ここにも夕焼けがあります。
♪夕やけ小やけの赤とんぼ 負われてみたのはいつの日か
幼い日の楽しい思い出と別れの寂しさに哀愁が漂うこの曲は
多くの人に歌われてきました。赤とんぼ、うさぎ、りす、かえる、鶯、カラスなど、
童謡には自然の風景といっしょに動物も多く出てきます。
生き物も草や木も、日本人のこころの中にしっかり根付いているのです。
童謡を歌う
童謡コンサートといえば、安田祥子さん、由紀さおりさんの姉妹が真っ先に
あがりますね。1982年から始まったコンサートは、多くの人々や親子の心を慰め、
潤してきました。日本の自然の抒情と温かく細やかな心を歌にして
中学生に届けたいと、お二人は「手づくり学校コンサート」の出張イベントも
続けられて2007年で6年目になります。
また、素晴らしい童謡を「親から子へ、子から孫へ」歌い継がれることを願って、
「由紀さおり・安田祥子 こどもの歌を考える会~ソレアード」の活動も、
国内、海外でぎっしりつまったコンサートの傍らで展開しています。
海外の著名なアーティストのクラシックコンサートで、
アンコールに、いきなり場違いに、赤とんぼやさくらさくらが演奏されて
しみじみと感動する場面がよくありますね。
日本の童謡・唱歌 100を描く
思い出にまつわる曲、いつも口ずさんでいる曲が全国から20万件寄せられ
(1999年)、永六輔さん、さだまさしさん、Toshiさん、服部克久さん、
黒柳徹子さんが選んだ童謡や唱歌100曲をテーマに、
日本のふるさとや四季を描いている画家の原田泰治さんが、全国を旅して、
心温まる、精緻で、情感あふれる100点の絵になりました。
その作品は「日本の童謡・唱歌 100選」展として、全国で開催されました。
(2000~2001年)。

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