コンセプト
誰の暮らしの中にもある、風呂敷、手ぬぐい、ハンカチは、それぞれ1枚の布です。
ひょっとして、風呂敷は認識が薄いお子様もいるかも知れませんが、
手ぬぐいやハンカチはお子様もよく知っているもの。
それぞれにきちんと専門的に作られ、用途の多様性とともに、文化やドラマがあり、
長い歴史を持っています。
長方形や真四角な、どこにでもある身近な1枚の布からひろがる機能の
ゆたかさやロマンをテーマに幼児教育として、
くらしの智恵や文化をお子様との話題にしてみてください。
物を包む、心を包む風呂敷
風呂敷のスタイルは織物の一反の裁断と縫製効率に由来していますが、
45センチ角や90センチ角以外に、正方形でないものもあったようです。
物を包むという用途は、結婚のお祝いなど贈答品を包んで持参したり、
お悔やみのものを包みから出してお渡ししたりするように、慶弔両方で、
物を包む日本人の心や礼儀を風呂敷に託しています。
風呂敷ごと置いて来る場合は、お礼を包んで風呂敷をお返しする、
という習慣もあるようです。
フーテンの寅さん(渥美清)が恋に破れて、さくら(倍賞千恵子)の実家に戻ってくる。
そして再び、家財道具一切を唐草模様の風呂敷に包んで、
テキ屋稼業の旅に出ていく映画「男はつらいよ」の場面に、
日本人のこころがありますね。
包み方、結び方にも文化がある
でもなぜ、「風呂」敷というのでしょう。昔、大名がお風呂に入る際に、
自分の着物を包んで置いたからだといわれているようですが、
その用途の起源は平安時代まで遡るようです。
現在では、物を包み、持ち運ぶ手段に用いられる、多様な機能があります。
地球温暖化対策として、スーパーなどのレジ袋を廃止しようとしている現代、
マイバックやトートバックに代わるものとしての役割を果たす風呂敷が
見直されています。
ファッション性やカッコウなども意外に新しい感覚で受け入れられるかも知れませんが、様々な包み方、結び方などがあります。
手提げバッグのように使う「風呂敷トート包み」、
三角形に折って頂点と両端を結ぶ「インスタントバック包み」などあり、
縦に長い瓶を包む「ワイン包み」、果物など丸いものを包む「すいか包み」など、
100種類ほどあり、奥が深いのです。京都の「宮井ふろしき、
袱紗ギャラリー」や東京人形町の「東京ふじみやび風呂敷ギャラリー」では、
風呂敷や袱紗の文化を収集、展示したり、包み方や使い方の教室を行っています。
実用品でも、美術品でもあった手ぬぐい
豊田市民芸館で2007年秋、「手ぬぐい展」という珍しいイベントがありました。
いまお風呂では、本来の由来である風呂敷に代わって用いられるのは
専ら手ぬぐいです。
しかし、手ぬぐいには、入浴するときに、体や手足を洗う用途のほかに、
手ぬぐい合わせという遊びや、浮世絵や江戸模様の手ぬぐいなど、
美術を鑑賞する幅30センチの布でもあり、手ぬぐいひとつにも語る文化がありました。
手ぬぐいは掃除や家事の埃避けに姉さんかぶりとして使われたり、
いかにも頬被りのどろぼうの存在感を表す装束に使われたりしますが、
言葉だけで楽しませる落語では、扇子とともに手ぬぐいがお噺の小道具で、
紙や財布やそろばんや杯になったりして、
市井のくらしや動作などのイメージをひろげます。
落語は300年の歴史をもつ伝統芸能、落語家はいま約600人、
手ぬぐいの文化を伝えていってほしいですね。
ハンカチには物語があります
ハンカチが出てくる映画のひとつふたつは思い出されますね。
刑務所から出てきた勇作(高倉健)が見る、光枝(倍賞千恵子)が
ひとりで待っていてくれたことを知らせる、家の前いっぱいに広がる
夥しい黄色いハンカチの旗。(「幸福の黄色いハンカチ」山田洋次監督)
恋人が都会に出ていくときに、太田裕美が、♪涙拭く木綿のハンカチーフください、
と歌う「木綿のハンカチーフ」いまでもカラオケで歌われます。
寝室に落されたハンカチ1枚で嫉妬のあまり、愛する妻デズデモナを殺めてしまう
オセロの悲劇。このシェイクスピアの古典劇、2007年は蜷川幸雄の演出、
蒼井優のヒロインで上演されました。
ハンカチはさまざまな物語を知っています。
ハンカチは拭く用途としても、身だしなみとしても、こころのコミュニケーションとしても、毎日持つものの象徴でもあります。
ハンカチは、子供たちのつらい涙も、うれしい涙も吸い取ってくれるもの。
1枚の布切れをおろそかにしないで、毎日、お母さんの愛情をこめて、
お子様のポケットに持たせてあげてくださいね。

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