コンセプト
毎日食事をするときに使うお茶碗、お皿、カップなどの食器―――
形や色や大きさや感触で、なんとなく好みが生まれて愛用度が増し、
「それは私のだよ」とか、お子様に言われたことはないですか。
陶器や磁器など、土や石で焼いた食器は、どのようにつくられているのか、
思いを馳せたことがありますか。土をこねたり、
ろくろをまわしたりした方もいらっしゃるかも知れませんね。
土をさわること、形をつくること、炎で焼いて器になること―――
陶芸は、沢山のことを体験する幼児教育です。食器は食べる器、
幼児教育は人のこころの器もつくります。
柿右衛門の有田焼
焼き物として一般的に人気が高いのは、肥前の有田焼で、
柿右衛門で知られています。いま14代目の酒井柿右衛門さん・人間国宝が
その伝統を継いでいます。有田焼は、土の土器に対して、石を砕いて焼く磁器、
乳白色の白をつくりだして、釉薬の上に鮮やかな花鳥や山水などの
絵をつけて知られる初代柿右衛門の様式です。
芸術品や職人の技術として、花瓶や調度品ばかりでなく、
庶民の食器としてのお碗などを量産してきました。
「食碗に始まり食碗に終わる」といわれるろくろ技術がここにあります。
荒川豊蔵さんが復活させた志野の美濃焼
陶器では美濃焼。千利休も愛でた志野―――荒川豊蔵さんは、
瀬戸で焼かれていたという志野を陶器のかけらから
美濃で焼かれていたことを明らかにして、発見場所に窯を築き、
桃山調を再現しました。焼物に使うのは、この近くで採れる土、
アカマツなどの薪を燃やして、登り窯で焼かれます。
ろくろをまわしてつくった湯飲み茶碗などの器に、
鉄分の多い土を水に溶いて絵を描き、窯で焼く体験も、
荒川さんの弟子の工房で見学することができます。
セントレア近くに常滑焼の街
中部国際空港ができた近くの常滑市は常滑焼の産地として知られています。
常滑東小学校では、電動式のろくろ40台や焼窯を備えた陶芸広場があり、
1年生から6年生まで、全員が陶芸をしています。
ここで地域の先生やプロやアマの陶芸家が子供たちに陶芸を教えています。
子供の感覚ですばやく技術を身につけ、
完成したときの喜びが創造性を養う教育につながっています。
常滑には、INAXのミュージアムの中にできた「土・どろんこ広場」が、子供たちに、
焼物の粘土のだんごを磨いて光らせていくなど、土にふれて遊ぶ場を提供しています。
いかめしい建物ですが、内部は、高い左官技術がうかがわれる、
常滑の土がふんだんに使われた美しい空間になっています。
女性陶芸家を育てている信楽
たぬきの置物で知られる滋賀県信楽町。
やさしく穏やかな田んぼや高原を越えると、街並みが陶器の町の風情を添え始め、
あちこちに町のシンボルたぬきが目につきます。
信楽町の高台にひろがる滋賀県陶芸の森にある創作研修館では、
作品を公開しながら、創作できる、レジデンスというシステムで運営されています。
海外から現代陶芸の技術を求めて留学してくる若者たちも多く、
朝日陶芸展などに入賞するなど、現代陶芸家の躍進を支える道場ともなっています。
たぬきの村は、いまや国際的な陶芸の人材育成の場として知られています。

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