だまし絵 えっ、これ、ほんと? うそー!

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コンセプト

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ふとしたとき、たとえば、

路面の碁盤目の敷石や、

エレベーターやトイレの壁面の

タイルの目地や模様などに

目をやったとき、

焦点が結べないで

戸惑う瞬間がありますね。

 

目で見ている習性の裏をかく

錯視の世界です。

 

遊びごころやいたずら心を

持っている人たちが視覚の

トリックをアートの世界にも

取り入れています。

 

安野光雅さんの、樹木の中に兎が何匹隠れているか、

といったなぞなぞが子供たちは大好きです。

おやっーと思う目の錯覚の世界は、ファンタジーとアートをいっしょに養いながら、

目の不思議にも触れる上質の幼児教育です。

 

二通りに見える絵

 

誰でも一度は見ているはずの「ルビンの壷」という古典的な絵があります。

白い壷が描かれていますが、壷以外の黒い部分を見ていると、

向かい合っている二つの横顔が見えてきます。

 

W・E・ヒルという人が描いた「娘と老婆」という絵があります。

斜め後ろから描かれているので顔の表情はわかりませんが、見る人の気持ちによって、

老婆にも見えるし若い女性にも見えます。

 

J.ジャストロウが描いた「あひるとうさぎ」という絵があります。大きいくちばしがあって、

ふつうはあひるに見えますが、45度くらい傾かせると、

くちばしの部分が耳になってうさぎに見えます。

 

これらは同じ絵が二つ以上の見え方をする多義図形といわれるものです。

 

 

エッシャーの無限連鎖

 

芸術として位置付けられているだまし絵があります。

だまし絵の天才といわれる、エッシャーがもう50年も前に描いた、

製粉工場らしい建物に張り巡らされた水路に水が流れる「滝」という絵です。

その水は水車を回していて、洗濯物を干している女性が臨場感を添えていますが、

流れる水だけを追っていくと、上から流れていつのまにかまた上に戻っているという、

引力の法則からはありえない風景になっています。

人の目の習性を逆手にとっただまし絵です。

 

 

ヨーロッパの宮殿の壁面

 

ヨーロッパの宮殿の壁画の装飾にも錯視の世界が取り込まれています。

ウルビノ宮殿にあるフェデリコのストゥディオーロに組み立てられた寄木細工の壁画は、

半開きのドアや棚の中に置かれたものなど、

奥行きも立体感もあって本当にそこにあるかのように見せています。

寄木細工をモチーフにしただまし絵です。

 

ヴェネチアにあるヴィラ・バルバロの壁面には、

女性に語りかけられている男の肖像画が描かれていますが、男が絵画的なのに比べて、

女性がさも本物のように見えるタッチと構図で思わず見る人を

現実と空想の狭間に連れて行きます。

 

 

教会の高い天井から空を見上げる

 

イエズス会の名だたる聖イグナチオ教会は、

隣のドメニコ会の修道院から日照権などで予定していた巨大な円屋根の建築を

断念せざるをえなくなりました。

困った教会の解決策として、ポッツォという人の作品で、

教会の中からまるく開いた天井を見上げると、天空の青空や雲が見え、

天使たちが空と教会のまわりにいて、高い円天井が抜けて青空があるかのように

錯覚します。実際には低い天井があるだけなのです。

 

東京のビックサイトの近くにヴィーナス・ラインという屋内のモールがあり、

ショップやカフェが並んだ舗道の天井にこの手法が取り入れられています。

商店街をウィンドショッピングしたりそぞろ歩きをしているうちに、

ついついそこが屋外のモールであるかのように錯覚させる青い空や雲が流れていて、

時間の経過すら感じさせます。

外が雨の日でもそれを忘れてしまいそうな、街ぐるみのトリックです。

 

 

グロテスクな人物肖像

 

いまから400年ほど前、ハプスブルグの宮廷画家アルチンボルドは、

気味が悪くなるほど異様なたくさんの人物画を描いています。

よく見ると、鼻が西洋梨、ほっぺたが林檎、ひげがトウモロコシ、

というように全てが植物や果物でモザイクされています。

或いは、顔が木の根っこであったり、魚たちが絡み合っていたり、鹿であったりと、

顔には違いないですが、グロテスクなほどに強調されています。

 

日本にも浮世絵の時代にも、同じような描き手がいました。

歌川国芳の肖像画の男の顔がなんとなく奇妙なのでよく見ると、

裸の男たちが体をぐにゃぐにゃと寄せ合って、鼻や頬や耳や手になっています。

題名も「みかけハこハゐがとんだいい人だ」「人をばかにした人だ」と遊びごころが

ここまで来ると悪趣味みたいです。

 

視覚のいたずらは東西同じですね。

アートや絵として、おもしろそうだからといってトリックばかりをお子様に見せるのは

お奨めしません。大人の遊びです。

二つの同じような絵があって、違っているところが8箇所もあります、

という遊びがあります。あの程度のノリでいいと思います。

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このページは、gallopが2008年5月21日 14:32に書いたブログ記事です。

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