コンセプト
太古の時代とはいかなくても、
ちょっと前の昔にはあって、
現代の都会の人の多くには
恵まれていないもの。
それは夜に星に会う、
ということです。
都会の空には何も見えませんが、
ほんとうは夜の空には数え切れない星が瞬いているのです。
とくに青少年に見られるいじめや非行は、星を知らない――
宇宙という天体のどこかに自分がつながっているという意識の欠落が
かかわっているのかも知れません。
今の日本でも、田舎や山や海では、空に瞬く星を見ることができます。
いまの子供の親やその親は、目に突き刺さるような星を見ている人もいるでしょう。
いつも夜空には満天の星があるのです。
モンゴルから日本に来て活躍している歌手のオユンナさんは、
「日本では降るような星、と言いますが、
モンゴルでは、砂漠の地平線から沸きあがってくる星と表現します」と言っていました。
星座の発見
古代の人は、どの星と、どの星とが形を組んでいっしょに動いているか、
という星座を、満天の星の中からどのように特定できたのか、不思議です。
季節によっても、方角によっても、見る場所によっても、その組み合わせの星――
星座は満天の星に埋もれて移動しているのに、です。
広い天体を指さし合って、あれがオリオン座といっても、
どうやって知識を伝達できたのでしょう。
計測する機械もなければ記録する写真もない、ましてハッスル天文台もない時代に、です。
いや、機械に頼らないからこそ、人間の眼力や本能的な観察力は、
現代人に比べてずっと優れていたのかもしれません。
辛うじて地球から見て、ほとんど位置が動かない北極星を中心に観察したのでしょうか。
星座の発見については天文台やプラネタリウムの専門家にお聞きください。
星は航海の地図だった
夜の天体は、航海する船の羅針盤でした。60年ほど前、ノルウェーのヘイエルダールは、
巨石で共通する、インカ文明とポリネシア文明は、海流や風に乗って伝えられたという
仮説を実証しようと、木や竹や麻などの当時の材料でつくった筏のコンティキ号で、
ペルーからイースター島へ出航しました。
途中、フンボルト海峡を越えて漂流、座礁しましたが、その冒険は高く評価され、
ヘイエルダールという小惑星に命名されたほどです。
2007年になって、偶然に頼って漂流するのではなく、
ポリネシアの人々が継承してきた伝統的な航海術を使って、
ハワイ、ニュージーランド、チリ、イースターのポリネシア圏の祖先がどこから来たのかを、
海洋学者ナノイア・トンプソンという人が、
ミクロネシアの伝統航海術士マウ・ピアイルグさんの指導を得て調べました。
木材とガラス繊維で長さ19メートルの古代の双胴カヌー「ホクレア号」を復元、
ハワイからタヒチまで400キロを、
推定したのと結果的にほとんど同じコースで航海しました。
手がかりは、星や月、太陽の位地や波の動きだったといいます。
特定の星と星が同時に水平線上に沈んだり、昇ったりするパターンを利用して、
自分がいる緯度を正確に知る伝統技術です。
彼は地域によって異なる星の動きをプラネタリウムで学んだといいます。
いまでは、3500年前、人々が台湾やフィリピンから、
タヒチやハワイへと移って行ったことが遺伝子などから明らかにされつつあります。
ナノイアさんは、GPS(全地球観測位システム)に頼る航海では自然とのつながりを
感じることができない。伝統航海技術は、私たちが地球に近づくことだ、と言っています。
(朝日新聞、2007年8月6日)
いまプラネタリウムがおもしろい
一時は衰退ぎみだったプラネタリウムですが、夜空の星の大小や自然な明滅、
全天周デジタル動画システム、光ファイバーなどのハイテクを導入して、
星空だけではなく、何億光年前の星の誕生やブラックホールなど、
天体のショーをレーザー光線や映像で楽しめるアミューズメントシアターになっています。
いま全国にプラネタリウムは350館あります。
名古屋市科学館でも2010年までに、光ファイバーを使った映像で
年間100万人を動員しているニューヨークのヘイデン・プラネタリウムに匹敵する、
直径30メートル超の世界最大級のプラネタリウムを計画中です。
家庭用のプラネタリウムもヒットしています。光学式の投影法で満天の星を1万個投影、
天の川も表現、日周運動機能や流星機能も備えた本格的な商品が人気です。
家族全員が楽しめて、星空を取り戻すツールとして良いかもしれません。
スターフォレスト御園
天体に興味を持ったら、本当の星空を見に行きませんか。
愛知県の東栄町は、「星の降る里」として知られた、
全国でも屈指の夜の天体を観測できる場所。スターフォレスト御園は、
プラネタリウムや天文台もあり、宿泊もできる町営施設ですが、
ここは、まさに天然のプラネタリウム――月が沈むと、満天の星を見ることができます。
やわらかい草の上に仰向けになって、砂子を撒き散らしたかのような夜空を眺めていると、
宇宙には、こんなにもたくさんの星があるのだ、地球より大きい星も、
何億光年に消え去ったかも知れない星もあると、夜気にうたれて、
天体の無限を実感できます。宇宙は、いまあなたがいる世界、
それが最高のロマンになります。
11月、この東栄町から始まる奥三河の奇祭、花祭りをご覧ついでに、
親子で一晩すごしてみませんか。宇宙の不思議で親子がつながれる、
とびきりのゼイタクです。
この感動を子供のうちに体験してもらいたい、幼児教育はそのひとことで足りる位です。

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