盆と正月がいっしょに来た――
デラックスなお祝い事が重なるときの
ゼイタクなうれしさを表現していますが、
お盆とお正月は夏と冬の日本の
生活慣習の節目でもあります。
日本では、お祝い事は神社に詣で、
弔いごとはお寺に頼んで、
一般的には神も仏も器用にいっしょに
あるようで、特別な信仰がある家庭でも、
どちらも生活風土の中にとけ込んで
いるようです。
日本の生活慣習や行事として、
お正月とお盆を幼児教育として
置き換えてみました。
祖先のこと、神様や仏様のこと、子供の心になかった新しい扉を
開くことになるかも知れません。
大晦日
ひと昔前の大家族では、お正月が近づくと、お餅をついて、お雑煮を用意したり、
鏡餅を飾ったり、門松や注連飾りをして、新しい年を迎えたものです。
そのような準備を繰り返して、「もういくつ寝るとお正月」と、
子供たちに1日1日近づいてくるお正月を待つ心が高まったものでした。
門松も注連飾りも玄関や門に飾って、年神様が降りて来るのをお迎えしたことに始まり、
長寿を招く縁起ものにつながっています。
そして、大晦日に神社の境内では火を焚き、罪や穢れを108つの煩悩を
ひとつひとつ払う、除夜の鐘があちらこちらのお寺で撞かれます。
神と仏がいっしょになってなって「ゆく年、くる年」を静かに迎えます。
もしNHKテレビの紅白歌合戦がなかったら、少しは年末年始も、
侘しくも荘厳な日本の慣わが生活の中にもう少し溶け込んでいたかも知れませんね。
お正月
赤々と登る朝日――元旦の初日の出だけはいつもと違う神々しさを感じるご来光です。
田んぼの畔の佇まいも、空の青さも、鳥の鳴き声も、何もかもが、
年の初めの清々しさに満ちているようです。
魔法のように、おめでたさを日本人の心象が作り出してくれます。
俳句では、初空、初茜、初晴れ、初景色、初旅、初句会、初湯、初便り、初笑いなど、
「初」をつけて、特別の気分を愛でています。
さながら、「初メール」なども慣習化して季語になるかも知れませんね。
お昼過ぎると、いつもの感じに戻るとはいえ、若水、お屠蘇、おせち料理、お雑煮と、お正月はそれぞれに理由やいわれのある、自然の恵みと健康と、
家族が集って祝う暮らしのデザインに満ち溢れます。
子供たちも、凧上げ、独楽回し、羽根突き、双六、歌留多など、この日ばかりは、
一年に一度のハレの日の遊びを満喫しますが、
現在ではこの伝統的な遊びの慣わしがどれ位暮らしの中に定着しているのでしょう。
核家族化されて、都会に住み、外で遊ぶ場所も少なくなっていますが、
ファーストフード店やコンビニや百貨店で、お正月の家族を見かけるのは、
なんだか侘しいですね。生活文化を支えてきた因子がそこには生きていないからです。
初詣
年の初めの初詣は、めでたさを
祝って、神社仏閣が賑いますが、
ここでも日本の生活風土の中に
神仏が共存しています。
昔は一家の長が、
大晦日の夜から神社に出かけて新年を迎える慣わしで、
その年の干支で縁起のいい恵方に当る社寺で恵方参りをしたものですが、いまでは元旦から
1月中くらいに初詣をすれば
よいこととなっています。
全国で多い順に、明治神宮、
千葉の成田山新勝寺、川崎大師、伏見稲荷大社、熱田神宮、住吉大社、浅草寺、鶴岡八幡宮、大宰府天満宮、氷川神社など、
それぞれ200万人以上の参拝があります。
初詣をすれば社寺の巫女さんから、お御籤を引いたり、絵馬を買ったりします。
お御籤は鎌倉時代に、田んぼに水を引く順番を決めるなどの手順に
由来するらしいのですが、人々は心の整理や姿勢を、吉ならますます元気に、
凶ならしっかり気持ちを引き締めて、それなりに上手に使い分けて一年の計としています。
絵馬は神様が俗世界に降りてくるので、
生きた馬を奉納して祈願したことに端を発しているといわれています。
お盆でキュウリやナスを馬に見たてて飾ることにも通じているようです。
お盆
その、祖先の霊が馬に乗って帰って来るお盆は、7月15日を中心に、
祖先をお迎えして極楽浄土に行くことを願って供養するお寺の行事です。
祖先の霊が迷わず帰って来るようにと迎えるのが精霊迎え、
お供えの野菜や果物といっしょに精霊流しや灯篭流しで送って行きます。
盆踊りは精霊が再び戻って来たことを供養することから祝うことへと、櫓を組んで、
歌や太鼓で賑やかに踊り、全国各地で、振興の住宅街や団地などでも行われています。
夜店や花火など、子供たちの中に眠っている日本人のお祭りごとのハレの日のDNAを
かきたてているようです。
日本人には本来の陽気な一面があり、季節感やお盆などの宗教的ないわれが、
民俗芸能とコラボレートして、親も子も楽しめる神仏共存の夏の風物詩となって、
生活の中に息づいているようです。
単に踊って祝うというより、祖先の供養や宗教的なしきたりが背景にあって、
生活文化としての厚みになっていて、子供たちにも伝えていきたい行事です。

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