夏休みのトンボ捕り――お父さんの、或いはまた、
そのお父さんの時代には昆虫採集がふつうに
行われていましたが、
いまは生活の周りで虫を見かけなくなったことや
自然を守る配慮から、
標本づくりは行われなくなりました。
一匹一匹の昆虫に出会ったら、そのおもしろさ、
不思議、生態や暮らしを見つめてください。
ここでは幼児教育に文化として、絵や、お話や、
音楽など、文化として昆虫に出会うことで、
地球と人間のかかわりを味わってください。
熊ん蜂が飛ぶ
レコードがステレオで聴けるようになった頃、立体音響のサンプルとしてよく使われた曲に、
リムスキー・コルサコフの
「熊ん蜂」という小品があります。
熊ん蜂があなたの周りや頭の
上を、ぶんぶんぶんと飛び回っているのではないかと、
思わず右や左を振り向いてしまいます。
これがステレオ、
とわかりやすい曲です。
いまでは、映画館での映画の音声はほとんど立体サウンドで、画面の動きに対応して、
右や左や、天井や後ろから聞こえる臨場感がありますね。
熊ん蜂はクラシック音楽ですが、日本の童謡には、ぶんぶんぶん蜂が飛ぶ、をはじめ、
沢山の虫が出てきます。虫は農業での害虫を退治する益虫や、
蜜蜂や蜂の果樹の受粉、土壌の分解など、四季の生活と密接なかかわりをもっています。
虫がいる環境ほどゆたかな自然といえます。
昆虫の絵本
昆虫が主人公の絵本もたくさんあります。エリック・カールの「だんまり こおろぎ」。
生まれたばかりのこおろぎ坊やは虫たちに挨拶しようとしますが、まだ歌声になりません。
やがて、きれいな声で歌えるようになりますが、
この本の最後に、こおろぎの鳴き声が聞こえます。
今森光彦さんの写真紙芝居「ななつのほしのてんとうむし」。
住んでいる滋賀県の田園や雑木林を身近に写真で伝えてくれる、
今森さんならではの、テントウムシがまるで手に取るように感じられる、迫力があります。
もう100年も読み継がれている「みつばちマーヤの冒険」(ワルデマル・ボンゼルス作)。
蜜蜂の巣で生まれ育ったマーヤは外の世界を見てみたいと、
親友のバッタのフィリップと脱走、自然の中でいろいろな虫と出会って成長していきますが、
やがて巣に帰らなければならない日がやってきます。
アニメのテレビ番組にもなり、日本でもおなじみになりました。
戦いに勝ってパワーアップしていくカブトムシ
でしょう。子供たちがカブトムシが大好きだということ
セガの「ムシキング」がゲームコーナーや
ショッピングセンターに置かれたマシンで
長寿の人気ゲームになっています。
妖精の子供のポポがカブトムシと
仲良くなります。
平和な森に、人間に追い出されてやって来た
虫たちが暴れだし、
甲虫の王カブトムシとポポは、挟む、
投げるなど、打撃技を使って勇敢に戦います。
バトルをマスターしていくと、
パワーアップしていき、裏技をこなせば、
カードが増えていく、伝説的なゲームに
なっています。
お母さんもバトルを応援なさったことが
あるでしょう。
昆虫の目には世界はどのように見えているのだろう
昆虫には、人間にないすぐれた機能を持っています。
トンボの美しい目玉をしげしげと見つめたことがありますか。
昆虫の目にたとえて、人のものの見方は偏ってはいけない、いろいろな角度で見つめれば違って見えてくる、という複眼の思想はここから来ています。
昆虫が見る世界は、ドットや明暗などの信号になって、人が見るのとは少し違うようですが、
フェロモンともかかわって、求婚相手やえさのありか、色を見分けるなど、
すぐれた能力があるようです。たとえば空高く飛んでいるトンボには、
ビオトープの小さな水溜りでも見えるのです。
ファーブル少年がそのまま大人に
昆虫が虜にするのは子供ばかりではありません。いま活躍している著名人に、昆虫好きで知られる
多くの人がいます。
その人(敬称略)とこだわりの
一匹。
漫画家やくみつる
(アキレイナモルフォ)、
コラムニストの泉麻人
(ハンミョウ)、
日本舞踊の藤間勘左
(クロツバメシジミ)、
政治家の鳩山邦夫(オオウラギンヒョウモン)、構造主義生物学者の池田清彦(カミキリ)、
仏文学者で「ファーブルの昆虫記」を訳した奥本大三郎(ウラナミシジミ)、
解剖学の養老孟司(ツシマカブリモドキ)、分子生物学の大澤省三(オオキノコムシ)、
国立がんセンター名誉総長の杉村隆(ホソオチョウ)、
鬼瓦師の小林平一(タカネトリバネアゲハ)、
ノーベル賞化学者の福井謙一(オオキンカメムシ)、
会社の社長さんにも、村田製作所の村田泰隆社長(蝶の写真集も出版)など、
昆虫少年は意外にたくさんみえます。
そんな有名人のエッセイなどを集めた「昆虫少年記」(朝日新聞社)の著者柏原精一さんは、
「昆虫少年が生物学者や農学者、医者などへと進化していくのは、
ある意味では当たり前である。虫たちのいたずらなまでの多様性、
したたかなまでの適応の姿に触れていれば、
いずれは『生命』というシステム自体のもつ不可思議を知らずにはいられない。」
もちろん、全然畑の違う人も多いのです。昆虫の魅力なのでしょう。

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