辛うじて記憶があるトンボとり。まだ親の時代までは
お父さんの世代ならまだ経験が
あるでしょう。
トンボには周回性があって、
田んぼの上をぐるぐる回って
飛んでいるので、
ギンヤンマの囮を紐につないで
飛ばせていると、メスと間違えて追いかけてくるオスを
簡単につかまえることが
できました。
メスをつないでいれば
もう、そのような子供たちの
楽しみはこれからの時代には
ないかも知れませんね。
昆虫は不思議に満ちています。
あの小さな体や行動は、
自然の不思議をつくづくと学べる幼児教育でもあります。
昔、そうであったように、子供は
誰でもファーブルになれます。
命の不思議と神秘をお子様といっしょに体験してください。
鳴く虫
交尾をして卵を産み、 子孫をつなげています。昆虫にもオスとメスがいて、
夏休みに入る頃、庭や公園の
木でセミが鳴き始めて
風景がいっそう夏らしくなります。
でも鳴いているセミはみんなオス。鳴き声につられてメスのセミが
その木にとまって、
後ろからだんだんオスににじり寄っていきます。
発音膜というものを奮わせて、セミはお腹の中にある
空洞のお腹で音を共鳴させて
あんなに大きな声になります。
メスはこの空洞に卵がつまって
います。
揚げ物をしている油の音の
アブラゼミ、
小さい体のニイニイゼミ、
夏の終りを告げるツクツクボウシなど、多くのセミの名前の由来は鳴き方と同じです。
秋の夜長にさまざまな音楽を演奏しているコオロギ類も、鳴くのはすべてオスです。
スズムシやマツムシなどは羽根の先にある突起をこすり合わせて音を出します。
ちょうどヴァイオリンの弦と弓と同じ仕組みです。
都会では、秋に鳴く虫のコンサートは聴かれなくなりました。
昆虫のユニークな習性
昆虫には面白い習性をもったものがいます。身近に見られるといいのですが、
トンボとりをして遊んだ世代しか知らないかも知れません。
アリジゴク。砂地にすり鉢状の穴を掘って、自分はその底で、
蟻がずるずると足を滑らせて落ちてくるのをじっと待ち構えているだけの生活です。
一度もフンをしないでお腹に貯めて2年も3年も生きます。
なんとも醜くて冴えない形をしていますが、成虫はか弱く美しいウスバカゲロウになり、
2、3週間で死んでしまいます。
ハンミョウ。山道などに、人の歩く先に先にと路上を飛んでいく、
玉虫色に輝く甲虫がいます。人の前を歩くように飛んでいくところから、
ミチオシエとして親しまれています。
ダンゴムシ。冴えない灰色の汚らしい感じの
ダンゴムシは、危険に出会うと、
体をダンゴのようにまん丸に丸めて敵を逃れます。
硬くて食べられません。
枯葉を食べて土壌をゆたかにする働きがありますが、
体がカルシウムでできていているので、
ときどきコンクリートの上でも見かけます。
コンクリートに含まれているカルシウムを
食べているのです。
擬態。昆虫には環境にとけ込んで身を守るものがいます。
ナナフシは、植物の枝や茎にそっくりです。
不思議なのはメスだけで卵を産んで増えていることです。
くさい臭いを出すカメムシの羽根や、ジャノメチョウの蛇の目のような模様、
ヤママユなどの蛾の目玉でおどすような模様など、
彼らは意識して自分を作ったわけではないにしても、昆虫の生きる絶妙の技です。
益虫と害虫
直接的なかかわりから、人が益虫と害虫に分けていますが、
自然の中では食物連鎖として益虫も害虫も人々の暮らしに役立っているといえます。
幼虫が稲を荒らしてしまうツマグロヨコバイなどはトンボが天敵であり、
野菜や花につくアブラムシをテントウムシが好んで食べます。
殺虫剤や農薬は害虫を殺しますが、まず最初に死ぬのは益虫の方で、
ほんの何%でも残れば、あっという間に害虫は復元して生き残ります。
そのときはもう天敵の益虫はいません。殺虫剤や農薬を使わず、
益虫を生かす農法が見直されています。
昆虫を観察する
身近な日常で観察できる昆虫は、少年ファーブルにとって、
社会生活を営んでいるアリかも
知れません。
道を這って、延々と続くアリの行列はどうやってできたのでしょう。
餌を見つけたアリはお腹の先からフェロモンを出して地面に
つけながら巣に戻ります。
仲間たちのアリは右と左の
触覚を交互に動かせながら
道を逆に辿って
餌場に行きつくことができます。
行列で行き交うアリは出会うたびにお互いの触覚をさわりあって、
さながら餌場を教え合っているように見えますが、
のどの奥に貯めて混ぜ合わせた臭いや口からの分泌物で
自分やお互いの体に塗り合って
同じコロニーに所属していることを確認しあっているのです。
こんな小さな昆虫ですが、凄い社会的な生活を営んでいるのですね。

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